メディア掲載
■新聞 Japan Medicine 2005年8月10日号 掲載
■週刊病院新聞 第1891号(2005年8月11日付)掲載
特定非営利活動法人医療ネットワーク支援センター(人見祐理事長)は七月三十一 日、個人情報保護法セミナー第二弾・実践編を、「医療の質の向上と個人情報保護法」
をテーマに東京・千代田区の損保会館で開催した。 同セミナーは、医療・介護における 個人情報保護法の適切な運用を支援するため、東京会場をはじめ全国七都市で順次開催している(※東京会場、大阪会場は既に終了)。 当日は第一部の講演「個人情報保護法、施行後の現状」および、第二部のセッション 「事例映像を見ながら」が行われ、このうち第一部では、①三浦純一・公立岩瀬病院医 局長・外科部長②稲葉一人・科学技術文明研究所特別研究員―の二氏が、法施行後の現 状を「医療現場」と「法律」の二つの側面から解説した。 はじめに「医療現場における現状の報告」のテーマで講演した三浦氏は「当院の個人情報保護法対策の目的は医療の質の向上であり、法律対策だけではない。法律対策を通して最終的には当院の提供するサービス、すなわち医療の質の向上を図るという意味で、 リスクマネジメントと一部オーバーラップさせる形で個人情報保護法対策を捉えてい る」と述べ、公立岩瀬病院における対策を説明した。 また、実際に起きた事例で、院外 薬局から、特定のがん患者への告知の有無についての問い合わせがあり、「告知していない」と回答したところ、後に該当患者が薬局を名乗り電話をしていたことが判明し、 対策として「薬剤師会と相談し今後はID番号制の導入を検討している」と述べた。 最後に「個人情報保護法対策と言って、冷たく断ち切ったりせず、コミュニケーションを維持しながら保護することによって、利用者本人を保護していきたい」などとまとめ た。 続いて「法律面からの検討」のテーマで講演した稲葉氏は「個人情報保護法は難しくな い。個人から得た医療個人情報は、その人の診療等の健康に還元する範囲で、チーム医 療者間で使われる限りはこれまでと同じルールで行う。しかし、診療等の健康に還元しない場合、またはチーム医療の外に出す場合は、(1)目的外利用の原則禁止(2)第三者提供の原則禁止―になる。 この二つの問題が出た場合は立ち止まって考えなければいけない。その際、本人の同意を得るか、除外規定を参照する。また、ルールとして一人で決めない、考えたプロセスを記録に残しておく」などと説明した。 第二部のセッションは、司会に人見祐氏を、パネリストに、川島亨・川島会川島胃腸科院長、坂本憲枝・消費生活アドバイザー―の二氏を迎えた五名で行われた。セッションでは、現場で起こりうる様々な個人情報保護法に関する事例映像を紹介し、その際の留意点、公立岩瀬病院における対応例などが報告された。 事例として「総合受付における見舞い客への対応?病室に関する問い合わせ?」などが紹介され、公立岩瀬病院では、(1)入院の有無に関しては回答しない(2)病室の問い合わせに対しては事前に患者アンケートを行い、患者の承諾があれば回答する―などと説明した。 また、携帯電話を使用した会場アンケートを行うなど、活発な意見交換が行われた。 |